
– Q1.栄養士を目指したきっかけと、日本学生科学賞の受賞がどのように影響したのか教えてください。
子どもの頃から料理が大好きで、「食べることは人を幸せにする力がある」と感じていました。中学生のときには、郷土料理「小友がんづき」の研究で日本学生科学賞を受賞。この体験から「食と地域のつながり」に魅力を感じ、栄養士を志す大きな原点となりました。
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– Q2.病院や保育園での10年間の勤務経験で、一番印象に残っているエピソードは何ですか?
病院勤務では、患者さんにとって「食事は生きる楽しみ」であることを実感しました。保育園勤務では、子どもが苦手な野菜を食べられるようになって「美味しい!」と笑顔を見せてくれた瞬間に心を動かされました。さらに目黒区の姉妹園20園の献立リーダーに選ばれ、1,400人もの子どもたちに自分の献立を届けられたことは、今でも誇りに思っています。
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– Q3.半年で130回の依頼を受けた料理代行で、特に喜ばれたサービスや工夫はありますか?
保育園栄養士の経験を活かし、料理代行では幼児食や離乳食の調理も可能にしました。半年で130回ものご依頼をいただけたのは、各家庭の子どもの年齢に合わせて食材の大きさや調理法を変え、一つひとつの家庭に寄り添った献立を提案してきたからだと思います。お客様からは「子どもの専属栄養士のようでありがたい」と言っていただき、信頼をいただけたことが大きな励みになりました。

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– Q4..家事サポーターアワードで3,800人中トップ6に選ばれたときの感想と、その背景にある想いを聞かせてください。
3,800人の中から選ばれたことはとても光栄でした。評価いただけた背景には「料理を通して、お客様の暮らしを支える」という想いを大切に活動してきたことがあると思います。料理はただお腹を満たすだけでなく、心も満たすもの。その価値を社会に認めてもらえたようで、大きな励みになりました。
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– Q5.オーストラリア料理留学で学んだ、世界の家庭料理やヴィーガン料理の中で特に印象に残ったことは?
オーストラリアでの料理留学では、多文化国家ならではの多様な食文化に触れることができました。特に印象的だったのは、ヴィーガン料理の豊かさです。「制限があるからこそ生まれる工夫」によって、彩り豊かで美味しい料理がたくさん生み出されていて、食の可能性を改めて感じました。食に対する柔軟な考え方は、今の私の料理にも大きく影響しています。
また、オーストラリアの家庭には必ずといっていいほど大きなオーブンがあり、焼くだけで楽しめるシンプルな料理が日常に根づいていました。日本とは異なる調理スタイルを体験できたことも、新しい視点を得る貴重な学びとなりました。
– Q6.古民家カフェを岩手で開くことを決めた理由と、コンセプト「あなたの身体に栄養たっぷりのご褒美を」に込めた想いを教えてください。

岩手・遠野は私の生まれ育った地元です。Uターンの決め手になったのは、愛知出身の夫の「子育てをするなら遠野がいい!」という一言でした。夫婦でオーストラリアに渡り、コーヒーと料理を学ぶなかで、ずっと夢だった子どもにも恵まれ、帰国後はご縁を感じた古民家を店舗に決めました。
カフェのコンセプト「あなたの身体にご褒美を」は、夫とのある体験から生まれました。交際を始めた頃、私の料理を食べた夫が涙を流したのです。その理由は「美味しいから」ではなく、それまで栄養のある食事を十分にとれていなかった彼が、久しぶりに心と身体に染みわたるご飯を食べて、込み上げてきたからでした。
その出来事を通じて、料理はお腹を満たすだけでなく「身体に栄養を与え、心を癒やすご褒美」になり得ると確信しました。その想いを大切に、今も一皿一皿を作っています。
– Q7.カフェを通じて、地域やお客様にどんな体験や価値を届けたいと考えていますか?

料理には、お腹を満たすだけでなく、心を癒やし、人を支える力があります。時に「涙が出るほど」心に響く一皿があるように、食事は人生の中で特別な意味を持つ瞬間を生み出します。
私自身も、美味しい料理に出会って涙がこぼれた経験があり、そして夫もまた、私の栄養たっぷりの料理を食べて込み上げるものがあったと話してくれました。
身体に必要な栄養を届けること、そして心がほっとする瞬間をつくること。そんな“ご褒美のような料理”を、この岩手・遠野からお届けしたいと考えています。
私たちがオープン予定のカフェの名前「古民家 Cafe Eme」は、今年誕生した、私たちの子ども「恵愛(えめ)」から名付けました。
オーストラリアのメルボルンの、emerald(エメラルド)という町にいたときに授かった命。
そして、愛に恵まれ、愛を恵みますようにと願いを込めて。
私たちの想いと、小さな命の成長が、ゆっくりと重なっていくような、そんな場所にしていけたらと願っています。
古民家 Cafe Emeからお届けするもの

これから「古民家 Cafe Eme」では、心と体に優しいメニューや、旬の恵みを活かした料理を提供していきます。
カフェの最新情報やイベント、日々の小さな物語は、Instagramでお届けしています。
📷 Instagramはこちら → https://www.instagram.com/eme.cafe.coffee/
また、当カフェのメニュー開発にも携わっている 森下さん特製レシピ も公開中です。
家庭でも再現できる、体に優しくて心が満たされる一皿を、ぜひご覧ください。
本日インタビューした森下さんのレシピはこちら → [https://bestdietclass.com/2025/09/03/experts-7-voice-vol-2/]
一皿一皿に込めた想いが、遠野からあなたの食卓へと届きますように。
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